ポストモダン建築に捧げるオマージュ
またひとつ、日本からポストモダン建築が消えてしまった。
無機質なオフィスビルが立ち並ぶ博多駅前エリアにおいて、
【旧福岡シティ銀行(現 西日本シティ銀行本店)ビル】における、
赤茶色のインド砂岩と御影石の壁体は、荘厳な神殿のようでもあり、
また未来的でもあり、まさに「混成的で、ラディカルな折衷」である
ポストモダンを体現していた。
同ビルは、プリツカー賞受賞建築家である磯崎新氏の設計で知られる。
磯崎氏の起用は、若くから芸術・文化への造詣も深かった同銀行の故 四島司社長である。
同氏は人材育成にも熱心であり、当時まだ若かった磯崎氏を起用することを通じて、
若い才能を育て続けた、稀代のバンカーであった。
そんな経緯もあって、さらに福岡市の第1回都市景観賞にも
輝いた同ビルが、今回解体・除却されることとなり、とても残念である。
(まち・社会の均質化による危機)
今や再開発や建替えにより、日本の駅前はどこも同じような退屈な建物で
どこもかしこも似たようなテナント構成で埋め尽くされ、均質化が現在進行形で
進み、街の個性が失われつつあります。
SDGsなどにおいて、多様性が求められるなか、この「均質化」の波は、
もはや痛烈な皮肉としか思えません。
多様性、折衷性などを特徴とするポストモダン。
この精神は、「多様で寛容な社会」が求められる現代にこそ見つめなおしたい。
ポストモダンの建築を通じて、彼らの精神を感じ取りたい。
適うことならば、それらの建築物を解体・除却させるのではなく、
まち・社会の共通のレガシー(遺産)として、後世に引き継ぎたい。
折しも、福岡県には、北九州市立美術館をはじめ、西日本総合展示場、北九州市立中央図書館など、磯崎新氏の建築物があるので、ぜひ足を運んで頂きたい。
【旧福岡シティ銀行(現 西日本シティ銀行本店)ビル】
【北九州市立中央図書館】
Text by 福岡営業チーム 原田
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