先月の6月には、多くの企業において

定時株主総会が開かれました。

 

 

そうしたなか、『東芝の総会に、国が介入』した旨の

ニュースは衝撃的でした。

 

東芝の株主が選任した弁護士による調査報告書において、

「経済産業省が株主に対して議決権行使をやめるように

関与していた。」と指摘されました。

今回の報告書では「東芝と経産省が一体になって、

外為法上の当局の権限を発動させ、株主提案に

対処しようとした」などと指摘されております。

そもそも国の安全などに関わる技術情報の流出などを

防止するという外為法の趣旨からも逸脱しています。

 

もし民間企業1社の株主総会への国の関与が事実ならば、

日本の市場の信頼性が揺らぐ、大惨事のひとつです。

 

政官民が濃密に結びつく、コーポレートガバナンスの異形を

改めて浮き彫りにしました。

この影響は、本件だけにとどまらず、投資家の不信につながります。

日本企業全体のガバナンス不信が市場に広がるリスクがあります。

 

どのように金融自由化や、海外投資の呼び込みが

行われても、このようなことが繰り返される限り

海外の投資家において、日本市場の重要性は下がります。

経済センスのない亡国の民による、安易な外資排除は、

日本市場にとって不幸でしかありません。

 

株式の本質は、相場ではなく、企業価値そのものです。

日々のマーケットにおける保有銘柄の浮き沈みだけに

一喜一憂するだけではなく、

歪みつつある日本市場における、政府の姿勢をはじめ、

コーポレートガバナンスに対して不穏な空気を読み解き、

不正は許さないと声をあげるぐらいの気概と関心を以て

市場に参加する覚悟が問われているのではないでしょうか。

 

 

『世界最大の悲劇は暴言や暴力ではなく、

善意の人の沈黙と無関心だ』       by マーチン・アーサー・キング

 

文責 原田