こんにちは。経営企画室のYYです。今日は不動産のテーマの中から、首都圏の「住みたい街」についての分析を紹介したいと思います。

毎年3月にSUUMOが首都圏の「住みたい街」アンケートのランキングを公表しています。このランキングは、投資家にとっては、これからどのエリアの物件を買えばいいのかを推測する一つの重要な指標になります。多くの人が「住みたい」と考える街は、不動産価格が上昇しやすい街でもあるといえます。このトレンドを追うために、10年前と2025年のランキング上位の街を比較してみました。

 

まずは10年前、2015年時点の「住みたい街」ランキングを見てみましょう。

吉祥寺や武蔵小杉といった東京に隣接する人気エリアのほか、恵比寿や目黒・中目黒・自由が丘といった都心周辺の高級住宅エリアが並んでいます。こちらのほうが最新版より「住みたい街」のイメージ通りなのではないでしょうか?あくまでこれは「10年前」の住みたい街ランキングです。

 

ついで、最新の2025年の「住みたい街」ランキングを掲げます。10年前と比べてランクアップした街を赤で、ランクダウンした街を緑で示しています。余談ですが、日本の証券市場では値上がりを赤で、値下がりを緑で示すことが多いようです。しかし欧米では値上がりを緑で、値下がりを赤で示すことが多いらしく、日本の全面高(画面が赤一色)は海外から見ると一見、全面安に見えてしまうそうです。ここでは日本での色塗りの常識に従った色塗りとしています。

なんと人気住宅地の定番だった自由が丘が20位圏外にまで下がり、都心周辺の住宅地も多くがランクダウン、かわって23区から大きく離れた横浜や大宮・浦和、流山などの郊外の街が「住みたい街」として名前が上がってくるようになったようです。頭の中が10年前からアップデートされたでしょうか?

 

もう少し詳細に分析するために、2015年と2025年のランキング上位の街について、東京都心からの直線距離を「キョリ測」で測定して示しました。「東京都心」というとき地理的な統計では“東京国際フォーラム”を原点とすることが多いためそれに従っています…古い話なので記憶がもう薄れてしまっていると思いますが、東京国際フォーラムというのは旧都庁の場所ですね。

なお、東京23区(622km2)を円と仮定した場合、平均の距離は約14km〜15kmになるため、15km以上の街を緑色でハイライトしています。つまり緑色の街はおおむね東京23区外を示すこととなります。

この結果を要約すると、10年前の2015年の時点で首都圏の消費者は東京23区の「内側」に住みたいと考えていたが、現在2025年の首都圏の住民は、平均すると東京23区の「外」に住みたいと考えている、という図式が見えてきます。わずかな距離の変化ですが、東京23区の内側か外側か、というのは質的な差ではないでしょうか。この10年間で消費者は、「ここなら住める」という消極的な理由ではなく、「住みたい」という積極的な理由で23区外を選ぶようになったようです。これは1つのトレンドとして押さえておくべきでしょう。もう少し詳細に見ると2025年では山手線の内側(7〜8km圏内)と郊外とに人気が二極化している様子が伺えます。新宿などの主に城南城西の山手線内側エリアも「住みたい街」として選ばれる一方で、立川などの遠方の郊外も人気を集めている、そういう状況が伺えます。

「東京に住む人はみんな中目黒や自由が丘に住みたいと憧れている」と考えるなら、それは2025年時点ではもう間違いです。頭の中を10年ぶんアップデートしてください。

当社の東京のCherimシリーズはおおむね都心から15km〜25km程度のエリアをターゲットとしています。たとえば直近のCherim東伏見は都心から直線距離で19kmの立地になっています。不動産投資において「23区内の物件を買えば安泰」がたった一つの正解とは限りません。当社が展開するCherimシリーズのような、やや郊外の物件も候補に入れてみてはいかがでしょうか。

 

経営企画室 YY

出典:

https://suumo.jp/edit/sumi_machi/2025/syutoken/

https://suumo.jp/edit/sumi_machi/2015/kanto/

図表は筆者作成