ブログをご覧いただきありがとうございます。福岡支店設計チームの本田です。

今回は、2021年に竣工した紀尾井清堂に行ってきましたので、ご紹介します。

この建物は、使用用途未定の建築として設計を依頼されたことで話題になりました。

設計者は株式会社内藤廣建築設計事務所で、有名な作品として鳥羽市立海の博物館や、牧野富太郎記念館、福岡では、九州大学椎木講堂などの設計もされており、主宰の内藤廣氏は日本を代表する建築家のひとりです。切妻屋根を採用している作品が多く、そのシンプルな形状やプロポーションは品があり、時代を超えても美しく感じられるでしょう。

さて、紀尾井清堂では、3月まで「奇跡の一本松の根展」が行われておりました。

奇跡の一本松は東北地方太平洋沖地震による津波で倒れなかった一本松です。本展示会では震災の翌年枯死してしまった一本松の根を展示してくださったようです。

photo@shinya honda

外観は、コンクリートのキューブをガラスで包んだダブルスキンで、ショーケースに入れたような見た目をしています。エントランスはコンクリートのキューブをくり抜いて作られたような形で、木(確か杉板)で仕上げています。階段も美しい。

photo@shinya honda

1階の展示室の特殊なタイルやゴツゴツした杉板型枠のコンクリート面、そして壁面上部にはハイサイドライト。照明を床に仕込み、天井を明るくした空間は、土の中に潜ったみたいでした。

こんなに間近で大きな木の根を見たことはなかったのですが、根の表面はごつごつしていて、その根の広がりは大迫力でした。強めの照明を下から当てていたのがいいですね。迫力が強調されていました。

photo@shinya honda

2-5階は吹き抜けのホールになっていて、小さい割の杉板が張られており、杉板型枠のコンクリート面や手摺で構成された吹き抜け空間は、とても繊細で作り手のエネルギーを感じました。

また9つのトップライトにより明るい空間になっていました。

本当に美しい外観と空間でした。現代のパンテオンとはよく言ったものです。(パンテオン行ったことないですが。)こんなにシンプルな形状の中に、建築美が凝縮されている建築は日本中他にないんじゃないでしょうか。機会があればぜひ行ってみてください。

ルールがあればあるほど自ずと正解がはっきりと見えてくるものです。なんの縛りも条件もない。何が正解かわからない。そんな中で行う今回の設計は、思想や感性、経験が試されたものだったと思います。そういった背景も考えながら見ると、本当に感動しますし、設計者のパワーを感じる良い建築でした。

photo@shinya honda

■概要

名称:紀尾井清堂

住所:東京都千代田区紀尾井町3-1

構造:鉄筋コンクリート造 一部プレストレスト鉄筋コンクリート造、鉄骨造

規模:地上5階建て

延床面積:1287.83㎡

竣工:2021年

設計:株式会社内藤廣建築設計事務所

施工:前田建設工業株式会社

最後まで見ていただきありがとうございました。

アパート経営・マンション経営・土地活用のことなら株式会社リビングコーポレーションにお任せください。

next architecture hint!

「大分 風」