Your step will bring a bright future (あなたの一歩が、明るい未来をもたらします。)
大量生産、大量消費によってもたらされる
現代消費社会の在り方への疑問が、世界で広がりをみせております。
価格だけで選ばずに、生産や調達において人権に配慮した商品・サービス
少しでも環境負荷の軽い商品・サービスを好んで選択する。
そのような「クリーンな消費者」が育む新市場が
企業の商品・企画に変化をもたらしています。
米国「オールバーズ」は、環境に配慮したものづくりで
若者を中心に厚い支持を得ており、いま最も注目を集める
アパレル・スポーツ関連ブランドの一つです。
靴や衣類に、羊毛やサトウキビなど天然素材を使用し、
生産に要するCO2排出量を商品タグに明記しています。
2016年の創業ながら、ミレニアル世代のアイコンとして
いまや企業価値は、10億ドルを見込むユニコーン企業でもあります。
そうしたなか、今夏7月にファーストリテイリングが展開する
ユニクロなどアパレル・スポーツ関連メーカー4社が
仏検察当局に、「人道に対する罪」の隠匿容疑で告発を受け
捜査を受けた事件は、記憶に新しいのではないでしょうか。
テロ対策で人道に対する罪を扱う部局が捜査担当の事案です。
訴状によりますと、同4社はウイグル自治区産の新疆綿を下請け
を通じて製品に使用し、自治区で人道に対する罪が行われていることを
知りながら、労働力を利用しているとの告発に基づくものでした。
人道に対する罪は、国家や集団が民間人に行った奴隷化、
自由剥奪など非人道的行為を、指します。
「国際法上の罪」と位置付けられているのです。
前出の1社は、取引ないとの説明をしているものの、
同社の代表は、確かな確証を提示することなく、
言葉で否定しただけで、
「これは人権問題というよりも政治問題。
われわれは政治的に中立なんで、これ以上
発言すると政治的になりますんで、
ノーコメントとさせていただきます。」と切り捨ています。
2019年に、同社は新しいコンセプトとして「LifeWear」を打ち出し
同社の会長兼社長は、その会見にて「今世界には貧富の格差の拡大、
難民問題、人種差別、気候変動など深刻な問題が山積しています。
(中略)人類の永続的な繁栄に疑問符がつけられるような時代。」など
と饒舌に語っています。
企業や団体は法人といわれます。
つまり、商行為をはじめるとする法的な関係において、人格を持ちます。
前述のとおり、真摯に向き合わず、ノーコメントというこの姿勢、
同社の人格のなかに、人命や人生を意味する「Life」に
関して矛盾する二面性を内包していないでしょうか。
同社自身、どうロジックを構築しても合理化できない
この自己欺瞞を、どう思っているのでしょうか。
広告や企業理念として、「Life」を臆面もなく、
堂々と掲げる法人が、「Life」の根幹である人権について
自身に疑惑が向けられている際に、「政治的中立なんで。」という
戯言で済ませることはできるはずはありません。
欧州諸国をはじめ海外勢の動きは、迅速でありました。
また日本企業においても、ワールドやミズノにおいては
方針を示すなど、企業としての姿勢を示した法人もありました。
一方で、メディアの取材に対して、(使用の有無についての)調査自体を
行ったか否かさえ、無回答の企業も複数社あったなど、企業間で対応が割れています。
疑惑解明に対して、難しい事情もあるとはいえ、
我々消費者も、多くの人は知らぬが仏と、
『善意の無関心』のままで、よいのでしょうか。
昨今、隆盛を極めるSDGsですが、
原則は、「誰一人取り残さない」です。
海外における、環境破壊や深刻な水不足をはじめ、
貧困や飢餓、子どもたちの強制労働などに関して
何ら痛痒を感じない人間でよいのでしょうか。
(現代社会の豊かさは、ほか誰かの犠牲のうえで成り立っています。)
商品・サービスを選択する際に、
少しだけ考えてみませんか。
あなたの一歩が、明るい未来をもたらします。
Text by 原田